

投稿者のしんです。
私は、新卒で特別養護老人ホームに入社しました。
その後かれこれ10年以上、介護現場で働いています。
2年~3年で、1つの部署を異動してきました。
特別養護老人ホーム、グループホーム、ショートステイをこれまで経験し、今に至ります。
今後のキャリアとしては、「しろくま介護ナビ」を利用して、在宅施設のサービスを経験していく予定です。
日本の介護の現状と課題を、施設介護の観点から学びたいと思っております。
-
-
しろくま介護ナビはどんなサイト?
しんサービスの利用は一切費用が掛かりません 【他社サイトと徹底比較】しろくま介護ナビの特徴(メリット) ...
続きを見る
介護をするうえで、「人間関係」の悩みは、必ずつきまといます。
私は、長年、介護現場で多くの失敗をしてきました。
その経験を通して、お伝えできることがあります。
こちらの記事で少し楽になると思います(^^)
-
-
人間関係で悩まれている方へ
しん介護施設で働く職員は、必ずといって良いほど直面する問題です 【人間関係の悩み】具体的にどんな問題があるの? &n ...
続きを見る
この記事では、認知症の症状の一つ。
帰宅願望について書いていきたいと思います。
介護に携わっている方は、誰しも経験していることではないでしょうか?
- カバンに荷物をしまい帰ろうとしている
- 「私、帰ります」と言い玄関に向かおうとしている
施設で働いている方なら共感できると思いますが・・・。
だいたい忙しい時間なんですよね(^^;)
記事の中でみなさんにお伝えしたいことがあります。
ぜひ最後まで読んでみて下さい。
~もくじ~
【認知症】帰宅願望の症状は認知症が進行しないとなくならない

認知症は進行していくにつれ、記憶力・判断能力が低下します。
ご家族の方や介護者が「今日はここでお泊りです」の声かけ。
その時は「そうなの?分かった」と納得。
しかし、しばらくするとその一連のやりとり全部忘れてしまう。
そして、そのやりとりを何度も繰り返すことで、介護者のストレスが溜まっていく。
文字におこすとこんな感じなのですが、実際の対応は大変です。
介護者も正直どうしたら良いのか分からないことが多いです。
認知症の症状を確認したい方は、下の記事を参考にして下さい。
【参考】
認知症にはどんな症状があるの?
帰宅願望を完全になくすことはできません
タイトルの言葉について説明します。
帰宅願望の症状は、認知症が進行しないとなくならない
私はそう考えています。
帰宅願望の原因は後述しますが、とても多いです。
確かにそれらを改善することで、一時的には帰宅願望はなくなるかもしれません。
「これで帰宅願望がなくなります!」
時々聞きます。
私は、医者ではないので「それは間違っている!」と断言はできませが・・・。
介護者の対応だけで、萎縮した脳が元通りになりますか?
(アルツハイマー型認知症)
しかし、帰宅願望は完全になくすことはできませんが、軽減することはできます。
私は、帰宅願望は「時間」と「環境」が大きく関わっていると思っています。
こちらを説明していく前に、帰宅願望が出現する原因を説明した方が、
分かりやすいと思います。
そのため、先に帰宅願望が出現する原因をお伝えします。
帰宅願望が出現する原因は何があるの?

帰宅願望は基本的に、本人が今いる環境に不快感を感じた時に出現します。
- 職員の対応に腹が立った
- 他のご利用者とのトラブル
- 排泄の失敗により衣類が濡れている
- お腹がすいた
- 温度の不快感「暑い」「寒い」
- 「仕事にいかないといけない」と思っている
- 「子供にご飯を作らないといけない」と思っている
- 夕暮れ症候群 等
原因をあげだすときりがないかもしれません。
これらが原因で、「もうこんなとこにいたくない!家に帰る!」と帰宅願望につながることが多いです。
それぞれの原因
しかし、➅~➇の内容は訴えが出てからの対応(事後対応)になります。
よく認知症ケアの基本でいわれると思います。
- まずは原因分析だ!
- 相手の訴えを傾聴しよう!
これは、本人の気持ちに寄り添うことも、もちろんその通りです。
しかし、この「予防できる部分」と「事後対応」を見極めるためでもあります。
これができないと、ご本人も介護者もずっと苦しいままになります。
押さえておきたいポイント
一人で頑張ろうしても、情報が伝わっておらず、他の職員があなたの努力を水の泡に変えてしまう可能性があります。
きちんとチームで情報共有しましょう!
では、ここからは「予防できる部分」と「事後対応」になる部分それぞれについて。
「時間」と「環境」がどう関係しているのか。
説明していきます。
予防・改善ができる可能性のある帰宅願望
これは、簡単に言うとケアの見直しです。
まずは時間と環境に関する情報を集めましょう!
不快になりそうな要因を事前に察知して、その障害を1つずつ取り除くことが求められます。
■ 帰宅願望が出現した時間帯に関する情報を集める。
- いつ?
- どの時間帯に?
- 前回した時間からどのくらい時間が空いているのか?
- いつも同じ時間?日により違う? 等
■ 帰宅願望が出現した時に、その方が置かれている環境です。
- 室内の温度
- 本人の状況(表情や言動)
- 帰宅願望がでる直前までとっていた行動
- 他のご利用者との距離感
- 職員の接遇 等
確かに、認知症は現代の医療では治療ができません。
そのため、「対症療法(たいしょうりょうほう)」になります。
しかし、認知症ケアは「不穏になってしまってからのケア」も重要ですが、
それ以上に「不穏にならないためのケア」が重要です。
注意ポイント
過去の記憶の混乱から出現する帰宅願望
認知症の症状の1つに見当識障害(けんとうしきしょうがい)というものがあります。
これは、「人・物・場所が徐々に分からなくなる症状」です。
見当識障害や記憶障害により、「過去の記憶」と「現在の記憶」が混ざり混乱を生みます。
認知症の方特有の「夕暮れ症候群」もこの1つです。
子供の頃、育児をしていた時期、仕事をしていた時期
「夕方になる=家に帰る」
過去に受けていた印象・イメージから、「家に帰る」につながります。
- 学校に行こうと思って。
- 子供にご飯を作ってやらなあかんから。
- 仕事に行かなあかんから。
これらも全て、過去の記憶が現在の記憶が混ざっている状態です。
こういった記憶の混乱に関する帰宅願望の対応は、どうしても対症療法になってしまいます。
【時間・環境を意識】事前に予防できない帰宅願望を対応
対応方法を一言で言うなら、「帰宅願望を忘れてもらうのを、事故なく見守る」です。
言い方はすごく失礼だと思っています。
しかし、事実です。
介護者が説得しようとしてはいけません。
行動を抑制しようとしてはいけません。
本人の気持ちに寄り添うことは大切です。
ご本人が何を考えているのか?
ご本人の世界観を理解することが目的の1つですが、
その他に不安や焦りを緩和する目的があります。
注意ポイント
帰宅願望に対するケアで一番大切なこと
結論から言います。
それは、落ち着いてもらえる環境を多く作ることです。
不快な感覚や寂しさ等から出現する帰宅願望。
それなら「不快」を「快」に変えることができれば、軽減することができます。
実際すごく難しいです。
しかし、介護職は難しくてもそこから逃げてはいけない仕事だと思います。
考えることを辞めてはいけない仕事だと思います。
【帰宅願望】ご本人にとっても辛い症状です

認知症の帰宅願望の症状は、ご本人にとっても本当に辛い症状だと思います。
施設で生活されているご利用者の中には、「帰りたい!」と話される方がおられると思います。
認知症の方は、自宅に帰っても「帰りたい!」と話されている方が多いです。
ご本人からすると、現在住んでいる自宅も、自分の家ではない感覚なんだと思います。
ご本人が本当に帰りたいと思っている場所。
もしかしたら・・・。
本人が帰りたいと思っている家は、自分が学生だった頃、両親が待っている故郷の家を想像されているのかもしれませんね。
もしそうなら、現在の家は、家の周りの環境、家の外観・内観どれをとっても本人からすると違うものです。
そうです。
一生戻ることはできない場所です。
今、認知症の方にとって信頼できる人は誰なんでしょうか?
一人で生きていくと覚悟されているのかも。
誰かに話を聞いてほしいと思っているのかも。
毎日一人で孤独と戦っておられるのかもしれませんね。
最後にみなさんにお伝えしたいこと
この記事では、認知症ケアの中でも帰宅願望について書いてきました。
いかがだったでしょうか?
帰宅願望の訴えは、介護者からすると大変な対応の1つです。
私もこれまで数え切れないほど経験してきました。
介護職は「介護」を仕事としています。
認知症の方に、私たちができることは何でしょうか?
毎日孤独と戦っている方に、できることは何でしょうか?
帰宅願望が出現した後、どう対応するのか。
これを考えることも大切です。
でもね。
そもそも日頃の生活の中で、孤独な時間を減らしてあげたいですよね。
施設で生活されている方の力になってあげれるのは、介護職の私たちだけです。
時間がたてば、自分の気持ちを誰にも伝えることができなくなります。
その方の声を聞いてあげられるのは、今しかありません。
時間は待ってくれません。
未経験者が行く介護の道【ロードマップ】
介護に初めて携わる方にむけて記事を作成しました。
- いつ頃までに、何を覚えていけば良いのか。
- どういったポイントに注意しなければいけないのか。
初めて介護に携わった方が、つまづくポイントは共通しています。
そのポイントをまとめています。

-
-
介護職の給料事情「新人の給料」と「介護歴10年の給料」を比較
しん 毎日同じことの繰り返しだな。 このままで良いのかな。 いつまで同じことをしているんだろう。 働いているうちに、こういった感情になってしまう ...
-
-
【断言します】仕事を辞めてもすぐに次の職場は見つかります
しん 今仕事を辞めて大丈夫なのかな? 今辞めても、次の職場がすぐに見つからないだろうな。 このように感じている方もおられると思いますが、そんなことはありません ...
-
-
どうにかこの辛い毎日を抜け出したい・・・。【介護職の転職】
しん 人が足りないのに、働き方改革なんて無理だ! うちは働き方改革とは無縁だ・・。 そう思われている方もいるのではないでしょうか? ...
-
-
【体の疲れがとれない方むけ】あなたの体を一番知っているのはあなた自身
しん二度とあんな思いはしたくない! 注意ポイント体の疲れを悪化させないためには、日頃の疲れを、どのように日々解消するかが大切! & ...
-
-
【社畜人生から抜け出そう!】ブラックな介護施設14つの特徴と対策【現役介護士が解説します】
しん物件探しと同じと考えたら、イメージが湧きやすいですよ! 【事実】良い条件の施設は、すぐに募集がなくなる どの施設も、「人材不足 ...
-
-
「私もあんな風になるの?」認知症の本人が不安な思いを告白
しん TOPページから、メールアドレスを登録して頂けますと、最新記事がいち早くメールで届くようになります❕ ■■ YouTubeチャンネル ■■ ...
-
-
介護施設に潜む闇:若い芽をつむお局さまの言動6選と攻略方法
しん TOPページから、メールアドレスを登録して頂けますと、最新記事がいち早くメールで届くようになります❕ ■■ YouTubeチャンネルを開設 ...
-
-
【ほんまでっかTVから学ぶ】認知症ケアに活かせる対応方法
・・・ほんまかな? こう感じて見ていると、その1時間30分かかった人が10分くらいで到着していました。 ...
-
-
【介護職あるある】職員(先輩)により介助の「やり方」が違う
しんまず一番最初に覚えておかないといけないことです! ご利用者が感じる「不快」を少しでも少なくする 先の内容で、それぞれの職員がこ ...
-
-
【みんな同じ時間に介助?】排泄介助にも個別性を求めましょう!
しん TOPページから、メールアドレスを登録して頂けますと、最新記事がいち早くメールで届くようになります❕ 最新記事はHOMEからどうぞ
最後まで読んで頂きありがとうございました(^^)
良い記事だなと感じて頂けましたら。
- いいね!
- シェア
お願いします♬
※TOPページから、メールアドレスを登録して頂けますと、最新記事がいち早くメールで届くようになります。